画家 佐藤潤

画家 佐藤潤のブログです。

曼珠沙華(まんじゅしゃげ)


また彼岸花曼珠沙華・まんじゅしゃげ)の季節がやってきました。
初めての入院のあと、個展に突入し、
その後、息子の体調不良→妻の体調不良となかなか過酷な日々をおくっておりますが
毎朝のジョギングを短い距離から再開しています。
コースに赤く美しい彼岸花が咲いていました。


僕には彼岸花に関する思い出があります。


大阪から生駒に越して間もない頃、
生まれて初めて彼岸花を見ました。
そのあまりの美しさ、赤い色に惹かれて、
辺りにあった彼岸花を大きな花束にして
母へのプレゼントに家に持ち帰ったのです。
この花束は本当に素晴らしい宝物だ!と思いながら。

ところが母は彼岸花の花束を持って玄関先に立っている僕を見て


「それは縁起の悪い花よ、
 家に入れると火事になるから絶対家に入らないで」


と言い、
オタオタしている僕から花を奪うとさっさっと捨ててしまいました。
そしてさらに、びっくしてその場でぐずぐずしている僕に


「それに毒のある花なんだから、
 手をよーく洗ってきなさい!今すぐに!」と言いました。


花に縁起があると知った初めての出来事でした。
この季節に彼岸花を見ると、今は亡き母のことを思い出します。
彼岸花花言葉は「悲しい思い出」「また会う日を楽しみに」とのことで、
僕にも少し寂しい思い出がつきまとっています。


しかしやはり実際に目の前に彼岸花を見ると
美しさに目を奪われます。
赤く、美しく、毒のある縁起の悪い花。
だから絵には決して描かない花。
けれど僕の大好きな花です。